竹田は持っている鍵で校門の扉を開けると、前野と共に中に入っていった。
中に入ると下駄箱の独特の匂いがただよっていたが、暗闇の中でその匂いの主の輪郭は闇に紛れていた。
竹田と前野は暗闇の中を慎重に進む。下駄箱の段差に来ると二人は靴を脱いで上に上がった。
床はひんやりとしていて、夏の暑さとは対称的な感触だった。外の鈴虫のさえずりが扉越しにかすかに聞こえてくる。
「ここでライトを付けるのはまずいか?」
「ああ、北側の校舎に入るまでは手探りで行こう」
竹田と前野はそう言うと慎重になりながら下駄箱のフロアを進んだ。しばらく進むと観音開きの扉があった。竹田は手探りで鍵穴を探すと、持っていた鍵束の中から合う鍵を選んだ。
「竹田、早く早く」
「あせるなって。暗くてよく手元が見えない」
すると、二人の視界に一筋の光が入ってきた。二人は思わずその場に膝たちになる。緊張が二人を覆う。その光はどこから入ってきたのか、二人にはわからなかった。
「前野、今の光――」
「ああ、どこから入ってきたんだ……?」
二人は立ち上がると、下駄箱の外に通じる側の扉の前まで進み、外をうかがった。


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